ドイツ証券チーフ・エコノミストの小山賢太郎が、日本銀行の植田和男新総裁について、植田氏の金融政策スタンス、今後の金融政策への影響について、最新の#dbInsightsで解説しています。
① 植田新総裁について教えてください。
植田新総裁は、東京大学経済学部教授を経て、1998-2005年の間、日本銀行の審議委員を務められました。審議委員退任後は東大教授に戻られましたが、日銀の金融研究所の特別顧問を務められるなど、過去四半世紀以上にわたって、日銀の金融政策やリサーチに携わってこられました。また、日銀内にも、植田先生の教え子が数多くいることでも知られております。従って、日銀からしても、身内から総裁に昇格したという感覚に近く、植田新総裁と日銀職員とのコミュニケーションも円滑に進むのではないでしょうか。
② 植田新総裁の金融政策スタンスは?
植田新総裁が、国会での所信聴取で強調していたのは、今後の金融政策の課題は、物価安定の目標の達成である、という点です。つまり、事前に政策の正常化ありきではなく、今後の経済物価情勢、そしてその先行き見通しに基づいて、物価安定の目標達成が困難であれば、金融緩和を継続するでしょうし、目標達成への道筋が見えた場合には、正常化を行うことになるでしょう。ただし、現行の金融緩和の副作用についても言及していることから、現在の政策枠組みがそのまま長期間維持される可能性は低いと、ドイツ証券では考えています。
③ 今後の日銀の金融政策に与える影響は?
日銀の9人の政策委員の内、総裁と副総裁3名が変わることによって、政策委員会全体のスタンスも変化する可能性があります。また、学者出身で、審議委員在任中も、政策委員会での活発な議論をリードしてきた植田新総裁の下では、政策委員内の意見の違いもより明確になるかもしれません。また、よりリサーチに基づいた政策運営がなされることや、金融市場とのコミュニケーションの改善もぜひ期待したい点です。
④ 注目すべきポイントは?
日本でもインフレ率や賃金上昇率が高まるなど、マクロ経済環境は大きく変化しつつあります。一方、海外に目を向けますと、金融引き締めの影響がより明確に表れるようになっています。こうした外部環境の変化に応じて、どのように金融政策を調整してくるのかが、まずは注目されます。また、やや長い目で考えますと、政府との間で締結している共同声明を見直すのかどうかという点や、これまでの金融政策の効果に関する検証を行うのかどうか、という点にも注目したいと思います。
ドイツ証券チーフ・エコノミストの小山賢太郎が、日本銀行の植田和男新総裁について、植田氏の金融政策スタンス、今後の金融政策への影響について、最新の#dbInsightsで解説しています。
① 植田新総裁について教えてください。
植田新総裁は、東京大学経済学部教授を経て、1998-2005年の間、日本銀行の審議委員を務められました。審議委員退任後は東大教授に戻られましたが、日銀の金融研究所の特別顧問を務められるなど、過去四半世紀以上にわたって、日銀の金融政策やリサーチに携わってこられました。また、日銀内にも、植田先生の教え子が数多くいることでも知られております。従って、日銀からしても、身内から総裁に昇格したという感覚に近く、植田新総裁と日銀職員とのコミュニケーションも円滑に進むのではないでしょうか。
② 植田新総裁の金融政策スタンスは?
植田新総裁が、国会での所信聴取で強調していたのは、今後の金融政策の課題は、物価安定の目標の達成である、という点です。つまり、事前に政策の正常化ありきではなく、今後の経済物価情勢、そしてその先行き見通しに基づいて、物価安定の目標達成が困難であれば、金融緩和を継続するでしょうし、目標達成への道筋が見えた場合には、正常化を行うことになるでしょう。ただし、現行の金融緩和の副作用についても言及していることから、現在の政策枠組みがそのまま長期間維持される可能性は低いと、ドイツ証券では考えています。
③ 今後の日銀の金融政策に与える影響は?
日銀の9人の政策委員の内、総裁と副総裁3名が変わることによって、政策委員会全体のスタンスも変化する可能性があります。また、学者出身で、審議委員在任中も、政策委員会での活発な議論をリードしてきた植田新総裁の下では、政策委員内の意見の違いもより明確になるかもしれません。また、よりリサーチに基づいた政策運営がなされることや、金融市場とのコミュニケーションの改善もぜひ期待したい点です。
④ 注目すべきポイントは?
日本でもインフレ率や賃金上昇率が高まるなど、マクロ経済環境は大きく変化しつつあります。一方、海外に目を向けますと、金融引き締めの影響がより明確に表れるようになっています。こうした外部環境の変化に応じて、どのように金融政策を調整してくるのかが、まずは注目されます。また、やや長い目で考えますと、政府との間で締結している共同声明を見直すのかどうかという点や、これまでの金融政策の効果に関する検証を行うのかどうか、という点にも注目したいと思います。