① なぜ日本の企業はインフレを賃金に反映させるようになったのでしょうか? 日本ではインフレ率の高まりにも関わらず、賃金の伸びは加速していないため、これまでのところインフレ調整後の実質賃金は低下しています。かつては、日本ではインフレ率が低かったために、インフレ率にあわせて賃金を引き上げるインセンティブが、企業側に欠けていました。しかし、企業は有能な人材を獲得し維持するために、現在の高いインフレ率を賃金交渉に反映するようになってきています。この変化は、日本がデフレから脱却しつつあることを明確に示していると言えます。
② 賃金とインフレは今後どうなるのでしょうか? 正社員の賃金水準を決定する大変重要な春闘において、ドイツ証券では、定期昇給を含む賃上げ率は3%を超えると予想しています。実現すれば、1990年代初頭以来の高い賃上げ率となり、今後サービスインフレの上昇につながる可能性が高くなります。
③ 日銀の金融政策が及ぼす影響は? 日本の労働市場とインフレは密接に関連しており、賃上げの加速は金融政策にとって重要な意味を持っています。日本銀行は12月の金融政策決定会合において正常化に向けた第一歩を踏み出しました。当社が予想するような賃金上昇は、イールドカーブ・コントロールの終了など、日銀の金融政策のさらなる正常化につながると考えています。
日本のインフレ率は4%を超え、過去40年間で最も高い水準に達する中、日本の大手企業は従業員に高水準の賃上げを提示しています。日本の労働市場で何が起こっているのか、ドイツ証券チーフエコノミストの小山賢太郎が解説いたします。
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① なぜ日本の企業はインフレを賃金に反映させるようになったのでしょうか?
日本ではインフレ率の高まりにも関わらず、賃金の伸びは加速していないため、これまでのところインフレ調整後の実質賃金は低下しています。かつては、日本ではインフレ率が低かったために、インフレ率にあわせて賃金を引き上げるインセンティブが、企業側に欠けていました。しかし、企業は有能な人材を獲得し維持するために、現在の高いインフレ率を賃金交渉に反映するようになってきています。この変化は、日本がデフレから脱却しつつあることを明確に示していると言えます。
② 賃金とインフレは今後どうなるのでしょうか?
正社員の賃金水準を決定する大変重要な春闘において、ドイツ証券では、定期昇給を含む賃上げ率は3%を超えると予想しています。実現すれば、1990年代初頭以来の高い賃上げ率となり、今後サービスインフレの上昇につながる可能性が高くなります。
③ 日銀の金融政策が及ぼす影響は?
日本の労働市場とインフレは密接に関連しており、賃上げの加速は金融政策にとって重要な意味を持っています。日本銀行は12月の金融政策決定会合において正常化に向けた第一歩を踏み出しました。当社が予想するような賃金上昇は、イールドカーブ・コントロールの終了など、日銀の金融政策のさらなる正常化につながると考えています。