News December 12, 2022

日本銀行のETF買い入れプログラムについて

ドイツ銀行の150 Seconds APACに日本のチーフ・エコノミストである小山賢太郎が出演し、金融緩和策の一環として日本銀行が実施する株式上場投資信託(ETF)の買い入れプログラムについて語っています。

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日本銀行は、株式市場を支えるために2010年から金融緩和策の一環として株式上場投資信託(ETF)の買い入れを開始しました。

Q. 日本のETF買い入れは世界の他の緩和策に対しどうユニークなのでしょうか。

株式ETFの購入は他の主要な中央銀行が行っていないユニークな政策で、従来の資産買入プログラムとも異なります。例えば、ソブリン債に比べて価格変動が大きいこと、満期がないことなどです。これらの特徴は、日銀の出口戦略を難しくしています。

Q. 日銀のETF買い入れによる株式市場への影響は?

我々の 分析によれば、日銀のETF買い入れによる株式全体の株価への影響は限定的です。また、買い入れ直後は株価が上昇しますが、その後は強いリターン・リバーサルが見られます。これは買い入れの影響が一時的であることを意味します。またこれは日銀による国債買い入れに 比べ、買い入れ金額が少ないことと整合的です。つまり,仮に日銀が ETF の買い入れを終了したとしても株式市場全体への影響は限定的と言えます。

Q. 予想された買い入れと予想外の買い入れが市場に及ぼす影響は?

予想された買い入れと予想外の買い入れでは効果が異なります。一般的に、日銀は前場の株価が一定水準以上に下落したときにETFを購入する傾向があります。この法則とは異なる予想外の買い入れとなれば、株式市場への影響も大きくなります。とはいえ、今や日本でも消費者物価総合指数上昇率は2%を超え、家計や企業のインフレ懸念も高まっています。このような状況を考えると、近い将来、ETF買い入れのような緊急時の政策は見直される必要があると思われます。

 

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